星コラム「かぐやを思う」

探査機+ISS




 

 

JAXAの会見で月に空洞が見つかったというニュースを

お聞きになりましたか?

 

 

 

 

月の地下の巨大な空洞発見

(C)NASA / GSFC /アリゾナ州立大学:マリウス丘と呼ばれる月の古代火山地域の溶岩チューブの天窓

 

今回、JAXAの会見で初めて知った方もいらしゃると思いますが、

上記の画像や、かぐやの画像でも2010年の3月には月地下の溶岩チューブの

天窓の発見は紹介されていました。

 

詳しくはこちらを。。。この記事を書かれた教授が会見されていました。

ISAS | 月地下溶岩チューブの天窓 / 宇宙科学の最前線

 

溶岩チューブとは

 

簡単にいうと溶岩が流れ出した後にできる空洞です。

月の中でもマリウス地域は火山が多くある場所の一つです。

 

地球の中でも、ハワイ島や日本などの火山による空洞と同じ現象が

起こります。

この溶岩チューブの発見された時には可能性として、空洞がのちに活用

するに値する場所になりうることが予測されていました。

 

ですが、中々露出した穴が見つかっていないため、長い間

憶測を抜け出せずにいました。

 

そんな中、かぐやより先に、NASAの火星探査機が火星に縦穴を発見します。

それらの存在が、益々月でのかぐやのミッションへの期待が

膨らんでゆきます。

 

そして、かぐやは、21ヶ月の間の画像で、月の縦穴を発見します。

 

そこからずっと研究、解析を重ねて、憶測だけでない可能性が高くなっての

今回の発表だったのでしょう。

 

(C)NASA / GSFC /アリゾナ州立大学:マリウス地域の西端にある北西に向かって大きく蛇行したリルの縁を示しています。マリウス地域にある数百の火山の特徴の1つ。

 

探査機「かぐや」について

 

初めてかぐやからの映像を見たときの感動を覚えています。

その時は、月から見た地球がとても美しく、漆黒の宇宙の中に、ぽかっかりと

浮かぶ姿は、手に取れそうなほど、鮮明なハイビジョン画像でした。

 

「月から見ると、地球も満ち欠けをする」

当たり前のことですが、実際目にして、ワクワクしました。

 

H-llAロケット打ち上げ

 

2007年9月14日10時31分、種子島宇宙センターから「かぐや」を

搭載したH-llAロケット13号機が打ち上げられました。

 

45分34秒後に「かぐや」はロケットから切り離されて、

月へ向かう軌道へと入ります。

 

かぐやの概要

 

「かぐや」は全長4.8m、重量3t、マイクロバスほどの大きさの探査機です。

先端部には同じ形の子衛星「おきな」と「おうな」の2機が搭載され、

月上空で順次切り離されます。

 

これらの子衛星をはじめ、「かぐや」には14種類の観測機器が

搭載されていました。そして観測ミッションは15にも及びました。

 

 

かぐやの軌道

 

打ち上げられたかぐやは、地球の周りを2周回って、月への軌道へ

入って行きます。

ダイレクトに月を目指すのではなく、地球を回っている間に、

細かい軌道の修正や機器の調整などを行うためです。

 

かぐやは20日間かけて10月4日に、月の上空で100kmの地点に到達します。

そして逆噴射による減速をし、月を周回する楕円軌道に投入しました。

 

さらに10月9日には子衛星「おきな」を、 10月12日には「おうな」を

切り離し、それぞれのミッションのための軌道へと送り込まれました。

 

かぐやは段階的に減速を繰り返し、10月18日に月上空100kmを周回する

観測軌道に入ることに成功します。

 

みんさんご存知のアポロは赤道付近を周回する軌道でしたが、

かぐやは南極と北極を通過する「極軌道」をめぐる軌道です。

そのため、かぐやはアポロで見ることのなかった北極、南極をはじめ、

月全体をくまなく観測することに成功しました。

 

(C)NASA

 

かぐや4つの目的

 

第一「月の起源と進化の解明のためのデータ取得」

月の探査のついては、アメリカやソ連の研究が先行していて、

1959年にソ連の探査機ルナ3号が初めて月の裏側の撮影に成功します。

その結果、月の姿が表と裏で違う顔も持つ意味を解くための研究が

広がてゆきます。

 

アメリカのアポロ計画では、実際に月へたどり着き、

月からのサンプルの採取という偉業が、またさらなる謎を生んでゆきます。

 

10年以上もかけてアポロ計画のデータ解析は行われますが、

月への研究は憶測の域を出ず、さらなる研究課題を提起するばかりでした。

 

その間、幾度も月の周回軌道による観測を続けていましたが、

観測機器の性能、観測軌道の制約などから、それ以上の成果は

得られませんでした、

 

そこでかぐやには、高性能な観測データが得られる、最新の機器を搭載し、

月の全域について、元素分布、鉱物分布、地形、表層構造、重力分布、

磁場分布、月環境について、高精度な観測データを取ること、

 

そして、その観測データを統合的に解析することで、月の物質構成、

月の内部構造、月の表裏の地質の違い、誕生後に発生したと考えられる

溶解状態からの変遷などが明らかにされ、その結果、今までの謎と

されていた、月の起源と進化への核心へ迫ることが、期待されたいました。

 

第二「得られたデータを将来の月利用、研究に使用する」

当たり前ですが、将来の想定というのは、実際に月を活動拠点にできるような

場所であるかの見極めという点で、利用価値が月にあるか、あるとして、

人類にとって最低限の安全を担保しつつも長期的に滞在することが

可能かどうかを念頭においています。

 

実際、今回の発表はそのための居住空間になりうる場所として

探していたとも言えます。

 

第三「探査のための基盤技術の開発」

・「月を周回する極軌道へ投入する技術」

・「月周回軌道上で姿勢や軌道を制御したり、熱制御する技術」

このような技術が大変重要になります。

 

月に低高度で周回する場合、月の過酷な環境をかなり受けてしまいます。

 

月には大気がほとんどなく、太陽光線や紫外線にさらされ、

昼と夜の温度変化、それらが衛星は2時間ごとにやってきます。

そのため熱制御などの技術が必要不可欠なのです。

 

第四「ハイビジョン映像の取得」

かぐやに搭載されたハイビジョンカメラでの撮影は

今まで見たことない月、地球の姿を写すのに大変意味のあることで、

 

研究結果は解析にかなりの時間をかけて行うものですが、

映像はリレー衛星の「おきな」の性能を確認することや、

すぐに成功の実感を得られる大変貴重なものとなりました。

 

この届いた映像で多くの人々が感動を覚えたことでしょう。

また、全日程の画像取得への強い味方となりました。

 

 

(C)NASA

 

かぐやの15のミッション

元素の分布を調べる
 1  蛍光X線分光計 月表面の元素分布、岩石タイプを調べる
2  ガンマ線分光計 月表面の元素分布を調べる。月の極域の水の存在も調査する
地質・鉱物分布を調べる
3  マルチバンドイメージ 9つの波長で月面の写真を撮り、鉱物分布を調べる
4  スペクトルプロファイラ 連続スペクトルを観測し、月表面の鉱物組成を調べる
地形・表層構造を調べる
5  地形カメラ 2台のカメラのステレオ撮像で、標高を含む地形データを得る
6  月レーダサウンダー 月面に電波を発射、反射により月の地下数kmまで構造を調べる
7  レーザ高度計 月面にレーザ光を発射し、地形の起伏、高度を精密に測定する
環境を調べる
8  月磁場観測装置 月面および月周辺の磁気分布を観測する
9  粒子線計測器 月に降り注ぐ宇宙線を調べる、月の火山活動の様子を調べる
10  プラズマ観測装置 月周辺のプラズマの分布を測定
11  電波科学 月の気薄な電離層を観測
12  プラズマイメージャ 月軌道から地球のオーロラなどプラズマの様子を撮影
月の重力分布を調べる
13  リレー衛星中継器 月裏側を飛行中の軌道の乱れを観測、月の裏側の重力の分布を調べる
14  衛星電波源 電波により各衛星の軌道を精密に計測、月の表面の重力場を精密に観測する
精細画像を撮る
15  高精細映像取得システム 地球および月のハイビジョン撮影を行う

 

 

かぐやのその後

 

かぐやの運用は2009年6月11日に終了しています。

月の表面に予定通り落下させています。

「かぐや姫」の名の通り、月へ還っていったということでしょうか。

 

 

詳し場所はこちら。。。

ISAS | 「かぐや」月に還る〜月面へ制御落下 / トピックス

 

 

かぐやの落下した場所はかろうじて観測できる場所だそうですが、

映像は取れたのでしょうか?

 

 

 

まとめ

月探査機かぐやについて簡単にまとめてみました。

月の地下空洞のニュースがどれほどの道のりを経ての

発表であったかを少しでも知る機会になればいいなと思います。

 

まだまだ解明されていないことも多いので

また研究が進んでゆくことを祈りつつ。。。

 

 

 

参考文献・サイト一覧
星のコトワリを掲載するにあたっての参考文献・参考サイトを一覧にまとめました。サイトの記事の作成のために参考しています。

 

 

 

 

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