星コラム「銀河系の腕について」

星コラム




(C)NASA

 

銀河系の渦巻き模様は「腕」と呼ばれることを

「星座の星や星団の多くは銀河系の腕の中に存在する」章で紹介しましたが、

 

さらに詳しくまとめました。

星コラム「肉眼で見える星は銀河のどの辺にあるのか?」
星座や星雲・星団の多くは、銀河系の腕構造の中に、存在していて、1等星の半数は地球から、100光年未満の領域にあります。さらに肉眼で見える星は、銀河系の2500万分の1しか見えていません。

 

腕とは何か?

 

🌟渦巻銀河内で、星がたくさん形成され、輝いている領域を指します。

渦巻銀河の円盤では、星の材料となる、ガスが星と一緒に回転しています。ただ

このガスは、円盤部分一様に分布しているわけではありません、回転運動をしな

がら、ガスの密度に濃淡の差によって、波ができます。

 

この密度の波が、渦巻き状になりやすいのです。さらに密度の高い場所では、星が

形成されます。その複合した結果によって、この「腕」とされる部分が、明るく

輝いて見えるのです。

 

このような銀河の腕の発生のメカニズムを「密度波理論」と呼びます。

 

銀河系の腕の位置はどうやってわかるのか?

 

そこで気になるのが、銀河系の腕の位置がどうやってわかるのか?ですが、「密度

波理論」というメカニズムによると、腕はガスの密度が高い部分に存在します。

ということは、円盤のどこにガスが集まっているかを調べれば、銀河系の腕の場所

もわかるという事になります。

 

ガスの密度を調べる方法は「ドップラー効果」を使います。

ドップラー効果は密度も測定できるので、腕の位置の推定に使われます。さらに、

ガスの密度分布に加えて、腕の巻き込み具合を数値化したものを使用しています。

 

 

ここで、一般的なドップラー効果について。

 

運動している物体から、出た音や、光 (いずれも波としての性質を持つ)の波長が、

観測者から見た物体の、運動の速度次第で、変化する現象です。

 

例えば、緊急車両のサイレンの音が、近づいてくるときは、高い音程で聞こえ、

自分の前を通り過ぎた瞬間に、低い音程となるのも、ドップラー効果です。

 

この効果を分析すると、運動している物体が、どれくらいの速さで、観測者に近づ

いてきているのか、また遠ざかっているのか、がわかります。

 

この速度を観測者(例えば地球)から銀河系をドップラー効果を使うと、渦の模様

ごとに近づく波長と、遠ざかる波長ができてきます。

 

 

それで割り出した測定値と、ガスが円盤状で分布しながら回転運動を推定したモデ

ルとかなり一致することがわかって、銀河系が円盤状という説を有力にしました。

 

 

 

太陽系は目立たない腕の中にあります。

 

銀河系は渦巻銀河です、銀河系のような渦巻銀河は、円盤状にある渦巻き模様を

した「渦状腕」を持っています。銀河円盤の中でも、星の密度が高いところは、

重力によって、ますます星を引きつけます。

 

こうして生じた星の集まりの濃淡は、銀河の回転運動によって、渦巻き状になり

やすい特徴を持っています。

 

銀河系は「じょうぎ座ー外縁部腕」、「たて座ーみなみじゅうじ座腕」、「いて座

ーりゅうこつ座腕」、「オリオン座腕」、「ペルセウス座腕」という5本の渦状腕

を持つことがわかっていて、太陽系は「オリオン座腕」に位置していることも研究

でわかってきました。

 

5本の腕の中には星の形成が活発に行われて、明るく目立つ腕もあれば、あまり目

立たない腕もあります。「オリオン座腕」はどちらかというと、あまり目立たない

腕にあるようです。

 

ですが、この「オリオン座腕」の中には、オリオン座のベテルギウスやリゲル、

蠍座のアンタレスや、はくちょう座のデネブなどのおなじみの1等星があり、

また、プレアデス星団や北極星なども、この「オリオン座腕」の中にあります。

 

まとめ

 

🌟渦巻銀河を説明するときに出てくる「腕」という存在をまとめてみました。

 

「渦巻銀河」は銀河系だけでなく、多く存在するので、構造上の「腕」の存在を

知っておくのも良いのではないかと思います。

 

 

良い観望でありますように。。。

 

 

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