🌟「天の川」と聞くと昔は七夕か銀河鉄道かというくらいしかイメージして
いませんでした。
星のことを知ってゆくと、物語ではない、実態を伴う星の世界が広がって
ゆきます。
そして「天の川伝説」ではなく「天の川銀河」について改めてまとめてみました。
天の川銀河の正体
天の川の正体を初めて科学的な答えを示したのは、かのガリレオ・ガリレイです。
1609年にガリレオは発明されたばかりの、望遠鏡で、ぼんやりと輝く「天の川」
が無数の星の集団、ということを突き止めました。
その後、いろいろな天文学者が天の川の詳細な観測をして、構造なども解明してき
ました。簡単にいうと「天の川は銀河系で、しかも私たちの住んでいる太陽系をも
含む2000億個もの恒星が、集まった渦巻銀河」と言ったところです。
形のもう少し詳しく説明するなら、中央が少し膨らんだ円盤形で、目玉焼きの様な
姿をしています。目玉焼きの黄身の部分を「バルジ」と呼び、円盤部分には腕の
様な構造を持っています。
さらに直径なども、銀河系の直径は10万光年にも及び、私たちのいる太陽系は、
中心から2万8000光年の距離にあり、銀河系内の他の星々を一緒に、グルグルと
2億年程度かけて、銀河系内を周回していると考えられています。
夜空の光の帯の天の川は、銀河系を内部から見通した姿です。そのため、天の川は
一つ続きに繋がっています。天の川の濃く広い部分が、銀河系のバルジ方向に当た
り、また、帯の中央は黒く隙間が空いている様に見える部分は、星がない訳ではな
く、濃いチリが、奥からやってくる光を遮るために暗く見えています。
秋の天の川は見えにくい
当ブログでも、夏の星団星雲ウォッチングを推奨しておりますが、簡単にいうと、
天の川を見る方向によって、銀河の中心へ向いているか、そうでないかによって、
見える星の数が違うのです。
「いて座」があるあたりが、銀河系の中心部になり太く、明るく見えます。さらに
「はくちょう座」から「わし座」あたりも天の川の星数も多いので、見やすいで
す。
では冬はどうかというと、銀河の中心の反対側になる方向には、オリオンの渦状腕
などの、明るい星が生まれる、星数の多い場所になっています。さらに冬は空気が
澄んでいて、よりキラキラして見えているのもあります。
最後に秋の理由は、星数が少ない方向であり、平たい円盤部の方向になります。
必然的に見えにくくなるというわけです。
(C)NASA
銀河系は本当に円盤状なのか?
天の川を見ると、細い帯の様に見えるので、「平らな形」という想像ができます。
結論から言うと、1950年代の電波による観測結果により、銀河系が円盤状である
という考え方を決定的なものにしました。
銀河系の円盤という想定は、ハーシェルの時代から始まっていました。ハッブルに
よって銀河系の概念が確立され、その後間もない1927年にオランダのヤン・オー
ルトが太陽近傍の恒星の運動を観測して、銀河系が回転しているらしいと、確かめ
ました。
銀河系という、星が集まってできた「変形可能な板」が回転運動をしているという
のなら、それは円盤状なのだろうと、他の銀河からの類推もあり、ハーシェルに始
まった「銀河系円盤説」はこうして確実視される様になりました。
次の世代の研究は、星に注目するのではなく、周りにある水素分子や原子のガス
を、電波で観測して、分析する方法がとられます。1950年代に電波での観測が、
本格的になって以降に、ガスの運動データと、回転運動を想定したモデルとを、
比較すると合致したことから、「銀河系が円盤状である」という考えは決定的な
ものとなりました。
(C)NASA
銀河系の直径
「銀河系の正体」のところでも書いていますが、現在、推定で出されている銀河系
の直径は、10万光年です。
しかしこの距離はあまり精度は高くありません。地球から銀河系の中心までの距離
は、2万8000年光年前後との説が有力です。この様に不確かな数字しか割り出せな
いのです。
というのも、天体までの距離を測る方法はいくつかありますが、銀河系の様な数万
光年単位で距離を測る場合は、星の光が地球に届くまで、どれくら光が弱められて
いるのかを推定しないといけなかったり、地球から銀河系の中心の星を測ったつも
りが、手前の星であったりと、不確定要素が多いのが実情です。
この銀河系の正確な直径を割り出す研究は、今も現在進行形で続けられています。
まとめ
🌟天の川銀河についてまとめました。
入門編といったところを重点的にまとめています。まだわからないことだらけの
天の川銀河ですが、身近な宇宙として眺めて欲しいです。
夏の空に広がる天の川を見ようとすると、星のよく見える場所へいかないと
見えない方が多いのではないでしょうか。
夏休みを利用して、星のよく見える場所へ天の川を見に行きませんか?
そして、行った時には天の川のすごさに圧倒されるだけではなく、そこに何がある
のか、思いを馳せて欲しいなと思います。
そのためのお役に立てれば幸いです。
良い観望であります様に。。。
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