星コラム「太陽系の誕生について」

宇宙誕生




 

 

 

🌟太陽系の誕生を知るには、宇宙にあるヒントを探します、太陽系自体を調べる

ことはもちろんですが、同じような惑星も研究します。

1990年代になって、太陽系以外の惑星が発見され、こうした観測でサンプルが

増えることにより、広い視野からの惑星の形成について、解明されてきています。

 

最近では、Aiなどを使って探査のためのデータ解析をして、発見の速度があがる

ことが期待されていますが、ひとまず、現時点での説などをまとめました。

 

太陽系惑星の形成

 

原始太陽系星雲 原始太陽系星雲は、当初ガスと塵でできた、均質の円盤でした。宇宙空間で塵の粒子が、ぶつかり合うと帯電し、お互いにくっ付き始めます。太陽に近いところでは、岩石粒子や金属粒子だったものが、小惑星と組成が似た岩質巨礫になっていきます、凍結線より遠方では、塵の粒子が次第に肥大してゆき、氷の塊となりました。
微惑星の形成 太陽を周回している個体の塊同士が高速で衝突すると、互いに破壊されてしまいますが、低速で接触した場合は、重力によって引き寄せられます。全体的には、破壊に至るよりも創世の過程をたどることの方が多く、こうした塊は、年間数cmというゆっくりとした速度で成長しました。やがて、それらは直径数kmの天体、微惑星となりました。
岩石惑星の進化 太陽系誕生から100万年後の太陽に近い領域には、地球の衛星である、月と同じサイズの岩石天体が、50~100個もありました。レーシングカーのように衝突しあい、さらに激化してゆきました。サイズが大きい原子惑星ほど強く、小ぶりの競争相手をすくい上げながら勝ち残りました。最終的に4つだけが生き残り、これらが今日の岩石惑星となったのです。
巨大ガス惑星の膨張 凍結線より遠方では、大量の氷状物質が集まり、もっと大型の天体が形成されました。急成長する木星が重力を生み出し、原始太陽系星雲からガスを引き込んで、水素とヘリウムからなる巨大な惑星となっていきました。土星も同じように成長しました。ですが、太陽系の最外縁部ではそのような物質が少ないために、天王星や海王星の成長速度は遅いものでした。また、巨大ガス惑星の周りでは衛星が形成されました。
惑星の現在位置への移動 当初、天王星が最も外側の惑星だった可能性があります。ですが、木星と土星の軌道が徐々に変わって、土星の公転周期が木星のちょうど2倍となった時点で、結果的に生じた重力による共鳴作用により、海王星がより遠くに飛ばされ、次に天王星も飛ばされました。その後、これらの惑星が氷質微惑星を太陽系全域に散乱させて、内部惑星に衝突させ、カイパーベルトが形成されました。

 

 

原始太陽と原始惑星系円盤

 

太陽系が誕生したのは、宇宙誕生から約29億年後です。現在からすると、

約46億年前のことです。

 

原始太陽

銀河の内部では、「分子雲」と呼ばれるガス (主に水素)と、塵(金属、岩石、氷

など個体の微小な粒子)の集団が漂っています。約46億年前の分子雲の中でも、

ガスや塵の濃い領域が、自らの重力によって、収縮し始めました。

 

やがて、その中心部の温度が上昇し、太陽の種(原始太陽)が輝き始めます。また、

原始太陽の周りには、ガスや塵が円盤状に分布するようになり、この円盤は

「原始惑星系円盤」と呼ばれるもので、のちにここから惑星が誕生してゆきます。

 

生まれたばかりの太陽は現在よりも大きく(半径で約10倍)、赤っぽい色をして、

明るさも現在の10倍程であったと考えられています。しかし、中心部の温度が、

水素をヘリウムに変えてエネルギーを発生させる、核融合が起こるまでは、至って

なく、核融合反応が始まったのは、原始太陽が誕生してから数千万年後だったと

考えられています。

 

原始惑星系円盤

 

原始惑星系円盤の大きさは、中心から半径100au(約150億km、1au=太陽・地球

間の距離で約1億5000万km)くらいで、円盤全体の質量は、太陽の質量の1%程で

あったと考えられています。円盤のほとんどは水素やヘリウムなどのガスであり、

個体の塵は円盤全体の質量の1%ほどであったと推定されます。

 

惑星はこの1%の個体の塵が、集まってできていたので、とても大切です。

地球の素も、この1%の塵の一部なのです。

 

微惑星の形成とスノーライン

 

原始惑星系円盤に含まれる塵は、金属、岩石、氷など、小さな粒子です、その大き

さは、1000分の1mmにも満たないほどの小ささだったと、考えられています。

原始太陽のすぐ近くでは温度が高いため、塵は蒸発してしまいます。一方で、原始

太陽から離れるほど、温度が下がり、金属、岩石、氷の順番に、塵として存在でき

るようになります。

 

太陽系の場合は、氷の塵が存在できるかどうかの境界が、太陽から2.7au付近に

あったと、推定されます。この境界付近を「スノーライン」と呼んでいます。

これよりも内側では、氷の塵が存在できず、それよりも外側では、氷の塵が存在

できました。岩石の塵の場合は、0.1au付近で、金属の塵の境界線は更に内側で

あったと考えられています。

 

スノーラインは、その後の惑星形成に大きな影響を与えています。スノーラインの

内側では、水星、金星、地球、火星という岩石型惑星(地球型惑星)が誕生し、外側

では、木星、土星、という巨大ガス惑星と、天王星、海王星という、巨大氷惑星が

誕生しました。

 

スノーラインを隔てて、特徴が分かれることとなりました、とりわけ外側は、氷の

塵の存在のおかげで、惑星の材料となる物質が豊富に残ったので、このような違い

が生まれました。

 

原始惑星系円盤では、無数の塵が、ちょうど雪が降るように、円盤の赤道面に舞い

落ち、集まっていったと考えられていて、円盤全体に塵の薄い層ができました。

塵はやがて、互いにくっついて、直径が数kmの小天体へと成長します。こうした

小天体は、惑星の卵であり、「微惑星」と呼ばれています。

 

スノーラインの存在により、それよりも内側では、岩石と金属主体の微惑星が、

外側では氷(水やメタン、アンモニアの個体)主体の微惑星ができました。これらの

数は、太陽系全体で100億個にも達したと考えられています。

 

(C)NASA

原始惑星の誕生

 

原始惑星系円盤の中で形成された微惑星の中でも、大きめの微惑星は、同じ公転軌

道上にある他の微惑星を衝突などにより取り込み、一気に大きくなってゆきます。

こうして半径千数百kmから3000kmほどの「原始惑星」が出来上がります。この

段階では、原始惑星たちは、正円に近い軌道で、太陽の周りを公転しています。

 

このような原始惑星の成長の仕方を「暴走的成長」と呼んでいます。それぞれの

公転軌道付近の微惑星のほとんどが集められ出来上がるので、元々、同じ軌道上に

どれだけ微惑星があるかで、その原始惑星の規模が決まります。

 

 

岩石型惑星の成長

 

原始惑星は、原始惑星系円盤のガスがあるうちは、ほぼ正円に近い軌道で、

原始太陽の周りを周回しています。ところが、円盤のガスは、中心の太陽へと落下

していったり、あるいは太陽からの紫外線やX線」などによって熱せられたガスが

散逸してゆく「光蒸発」などによって、徐々に失われていったと、考えられて

います。

 

円盤ガスの中を、公転運動する天体に対しては、円軌道を維持させるような、

力が働きます。しかし、円盤ガスが失われると、原始惑星は、互いの重力によって

円軌道が乱れ、徐々に楕円軌道となるものが出てきます。

 

楕円軌道になると、軌道が交差することにもなり、原始惑星同士が、衝突するよう

になります。こうして、原始惑星は最後の衝突と合体を遂げ、水星、金星、地球、

火星という岩石型惑星の原型が誕生しました。このような大規模な衝突は「巨大

衝突(ジャイアント・インパクト)」と呼ばれています。

 

太陽系惑星について「水星」
水星は、太陽系では一番内側を回る惑星です。このため、太陽の強烈な熱にさらされ続け、昼間の表面温度はなんと430度にもなります。逆に夜の側はマイナス180度にも下がります。
太陽系惑星について「火星」
地球のすぐ外側を回る火星は、地球の直径の半分ほどの小さめの惑星です。火星は、太陽系惑星の中では、一番地球に近い環境があります。もちろん、水や生命の存在などは、まだ直接には見つかっていませんし、二酸化炭素を主成分とする大気は極端に薄く、人間にとっては馴染みにくい世界です。
太陽系惑星について「金星」
金星は水星についで、太陽に近い惑星です。地球からは、日の出前の東の空と、日没後の西の空に見ることができます。この時の金星はとても明るく見つけやすく、古くから「明けの明星、宵の明星」と呼ばれ親しまれています。

 

 

地球ができるまでの衝突回数は?

 

地球の質量は、火星の10倍くらいで、もし火星サイズの原始惑星ばかりの衝突・

合体を繰り返したと仮定して、地球が何回の衝突でできたか考えてみましょう。

 

火星サイズの原始惑星を1として、1回の衝突で「1+1=2」となり、次の衝突は

相手も1回の衝突を経験しているとすれば、「2+2=4」となります。その次の衝突

も同様だとするならば、「4+4=8」となります。つまり、必ずしも10回の衝突が

必要というわけではありません。

 

実際の衝突がどのようになるかについては、偶然の要素が大きいというのが、

コンピューターシミュレーションによって解析されています。実際の衝突回数は

不明ですが、原始惑星が複数回の巨大衝突を繰り返し、地球のような惑星が誕生

したというものが、最も支持されている説です。

 

(C)NASA

 

ガス惑星と氷惑星

 

ガス惑星

 

木星の質量は地球の約320倍で、土星は約95倍です。地球のような岩石型惑星と、

巨大ガス惑星では、圧倒的な質量の差があります。両者を分けたのは、原始惑星系

円盤のガスを取り込めたかどうかという点です。

 

木星の軌道付近には、水の氷の塵が存在しているので、原始惑星の材料が豊富で

す。また、軌道が外側になるほど、円周は長くなり、原始惑星の材料となる物質を

集められる空間も、大きくなります。更に、太陽から離れるほど、太陽の重力が

小さくなるので、原始惑星の重力の影響が強くなり、周りの材料物質を集めやすく

なるのです。

 

このような結果、木星や土星は、原始惑星自体が大きく成長し、地球の質量の

5~10倍までも大きくなったと考えられています。ここまで大きくなった原始惑星

は、周囲のガスを自らの重力で取り込み、核となる「コア」ができ、木星や土星へ

成長したのです。

 

太陽系惑星について「木星」
木星の直径は地球の11倍、体積はなんと1300倍も有ります。しかし、そんな巨体の割に体重は軽く、地球の318倍ほどしかありません。太陽系最大のジャンボ惑星なのに、体つきがひどくアンバランスなのです。
太陽系惑星について「土星」
美しく神秘的な輪を持つ土星は、その正体は木星と同じガス惑星で、地球の直径の10倍もありながら、とても軽いので、もし、土星を入れることのできる巨大なプールがあれば、土星は水面にプカプカと浮いてしまうだろうと言われています。

 

 

氷惑星

 

原始惑星系円盤のガス成分は、円盤が誕生してから1000万年ほどのうちに失われ

ると考えられています。原始惑星は、軌道が外側になるほど、1周するのに時間が

かかります。その結果、成長に時間もかかる、ということがわかっています。

 

天王星や海王星の「コア」が原始惑星系円盤のガスを取り込もうとした時には、

ガスはかなり失われていた可能性が高く、その結果、天王星や海王星は十分なガス

が取り込めず、巨大な氷のコアに少なめのガスをまとった、巨大氷惑星となった

と考えられています。

 

太陽系惑星について「天王星」
淡い環を持つ横倒しの天王星、天体望遠鏡では見えませんが、天王星にはごく細い環があります。メタンの厚い雲に覆われているため、木星のようにはっきりとした模様は見られません。そして、赤い光を吸収してしまうため、全体に青っぽく見えます。
太陽系惑星について「海王星」
海王星は太陽系にある8個の惑星の中で、最遠に位置しています。その公転周期は約165年です。1846年に発見されて、2010年に発見された位置から太陽を1周して同じ位置に戻ってきました。海王星は半径約25000kmで、天王星よりも少し小ぶりな氷惑星です。

 

 

宇宙誕生0秒後から3億年後ごろまでについて

 

「宇宙誕生0秒後から3億年後ごろまで」についてまとめたページは

こちらをご覧ください。

 

星コラム「宇宙誕生0秒後から3億年後ごろまで」について
宇宙が誕生してから0秒後から、約3億年後ごろまでの流れを、まとめてみました。宇宙誕生については、いろいろな説がありますが、大筋でこのような流れが主になってきています。とはいえ、宇宙の話は、新説がいつでてもおかしくないので、それも楽しみにしてもいいですね。あなたの考えはどうですか?参考になれば幸いです。

 

宇宙が誕生から約3億年後から約92億年後ごろまで

 

まとめたページはこちらをご覧ください。。

星コラム「宇宙誕生3億年後ごろから92億年後ごろまで」について
宇宙が誕生してから約3億年後から、約92億年後ごろまでの流れを、まとめてみました。宇宙誕生から約3億年たったころ、ガスの濃い部分は、あちこちで太陽の重さの100分の1くらいのガスの塊へと成長してゆきました。

 

 

 

まとめ

 

太陽系の誕生についてまとめました。

太陽系が誕生したのは、約46億年前のことです。とてつもない時間をかけて、

ガスや塵が集まり、衝突を繰り返し、惑星には惑星の誕生物語がありました。

 

少しでも宇宙への興味が広がればいいなと思います。

 

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