星コラム「惑星状星雲について」

星コラム




 

 

 

🌟惑星状星雲というガス雲ですが、その姿はとりわけ美しい物が多く、

形状も色々なものがあります。

 

中にはちょっと怖いものもありますが、簡単にまとめてみました。

 

 

惑星状星雲とは

 

惑星状星雲とは、太陽のような星が消滅した後に残したガス雲です。

「惑星状星雲」という名前は、当初発見されたものが球形に近く、惑星のように

見えたために付けられました。

 

現在では、望遠鏡の進化に伴って、惑星状星雲の多様な姿が次々に、観測されて

います。縁だけが不透明な球形殻のリング状のものもあれば、砂時計のように、

中心に星を取り巻く濃いガスと塵の環が挟んだようなものもあります。

 

放たれた時期が違うとガス殻は、物質の密度と放出速度の違いのために、複雑に

相互作用し、様々な姿をします。さらには周りの重力の発生するものがあれば影響

を受けてさらに変化してゆきます。

 

(C)NASA

惑星状星雲の成り立ち

 

質量が太陽程度の赤色巨星が中心核のヘリウムを使い切った時に、星の最期が秒読

みに入ります。その後は、水素殻とヘリウム殻の核融合反応で輝いて終わります。

その過程は不安定で、大きさや明るさは激しく変動します。

 

星としてのバランスが、保てなくなる限界がやってきて、巨星の外層は重力を振り

切り、球状の殻となって宇宙空間へ飛び出します。より高温の内側の層が露わにな

ると、表面から恒星風が勢いを増します。放出された物質と恒星風が組み合わさっ

て、幻想的な姿を見せているのです。

 

ですが、ガス雲は煙の環のようなものなので、最終的には儚く消えてしまいます。

 

惑星状星雲の形成まとめ

1 燃え尽きる巨星 質量が太陽程度の恒星が寿命が近づくと、中心核のヘリウムが燃え尽きて、炭素が多くなります。すると中心核の周りの、熱く高密度のヘリウム殻と水素殻で核融合が始まり、大量のエネルギーを放出します。
2 不安定期の開始 水素殻とヘリウム殻の核融合反応は温度と圧力に極めて敏感で、少しの変動でもすぐに星全体が収縮し、大きな脈動へと繋がります。
3 外層の放出 脈動がその極限に達すると、星の膨張速度は早くなり、外層の物質は重力を振り切って、宇宙空間に飛び出します。
4 内側からの光 吹き出した外層の物質が惑星状星雲になると、むき出しになった星の表面は徐々に暑くなり、そこから紫外線が出て、ガス殻を刺激し、ガスは様々な色に輝きます。
5 ゆっくりと衰える 惑星状星雲がさらに広がり続ける一方で、中心星からの刺激は衰え、ガスも輝きも弱まっていきます。
6 超高密度の白色矮星 最後に残るのは燃え尽きた中心核で、これを白色矮星と呼んでいます。白色矮星は非常に高温ですが、小さいために遠方からはほとんど見えません。

 

 

(C)NASA

惑星状星雲の色の違い

 

赤色巨星から放出された外層は、宇宙空間に広がると急速に冷えます。ですが、

星の中心部が露わになるため、星の表面温度は上昇し、次第に強い紫外線を放射

します。

 

これが周囲のガスに吸収されて、可視光の波長で再放射されるので、惑星状星雲は

様々な色に美しく輝くようになります。ガスを構成する物質によって、放射光の色

が違うので、色から外層の物質が何かを割り出せます。

 

 

白色矮星について

 

惑星状星雲の中心星が物質を削ぎ落としてゆくと、核融合反応をしていた殻も、

やがて反応を止めて、宇宙空間に放り出されます。その後には高密度で、燃え尽き

た中心核の残骸だけが残されます。これが白色矮星です。

 

膨大な熱によって、まだ強く輝くことができますが、核融合による放射圧力の支え

がなくなって、中心核は崩壊してゆきます。やがて、原子中の素粒子が接近すると

電子圧が作用して、崩壊は止まります。

 

この時点では、星の中心核は地球の大きさまで収縮していて、密度は1立方cm

当たり、約1トンのもなります。

 

 

 

色々な惑星状星雲

 

地球からは約7000光年離れています。単純な球状の惑星状星雲で、何千年も前にガス雲が発生していますが、今だに球状を保っているので、研究に適している天体の一つです。
球面惑星星雲:アベル39 ヘラクレス座

(C)NASA

地球からは約8000光年離れています。なぜこのような形態になったかには、幾つかの仮説があります。ガスの噴出速度と構造体の長さ、また中央の星の磁気など、複雑に関係しあってできたものと考えられています。
惑星星雲Mz3:蟻星雲 じょうぎ座

(C)NASA

地球からは約4000光年離れていています。羽の長さは3光年以上にも及びます。その姿から「ちょう星雲」と名付けられました。
NGC 6302:蝶星星雲 さそり座

(C)NASA

地球からは約1500光年離れています。ガス雲の形態が絡まった蛇のようなところから「メデューサ星雲」と呼ばれています。
Abell 21:メデューサ星雲 ふたご座

(C)NASA

正方形に見えるのは、円筒を側面から見たもので、上から見るとリング星雲と同じように見えます。
IC 4406:正方星雲 おおかみ座

(C)NASA

地球からは約2100光年離れていています。M2-9は元は連星で主星が先に終焉を迎えて、白色矮星となっています。伴星が限りなく近い軌道で公転することで、このようなガス雲の形状を作り出していると考えられています。ガスの円盤は冥王星の軌道の10倍の大きさをしています。
M2-9:蝶星雲の翼 へびつかい座

(C)NASA

地球からは約2300光年離れています。このように四角形になるのは珍しいことで、見る角度が円錐状と思われる形の境界線が印象的な「X」を形成しています。
赤い矩形星雲 いっかくじゅう座

(C)NASA

地球からは約2000光年離れていて、0.3光年に渡って広がっています。おそらくは太陽によく似た一般的な赤色巨星でしたが数千年前に燃料がなくなって、このようになったと考えられています。
IC 418:スピログラフ星雲 うさぎ座

(C)NASA

地球からは約8000光年離れています。カラフルな輝くガス(窒素 – 赤、水素 – 緑、および酸素 – 青)の微妙なリングが砂時計の薄い壁を描いていて、これはゆっくりと拡張する分子雲の中で、速い恒星風の影響と考えられています。
MyCn18:砂時計星雲 はえ座

(C)NASA

地球からは約3000光年離れています。近くには「M46」の散開星団がありますが、更に3000光年も離れているので、影響はしていません。
NGC 2438 とも座

(C)NASA

地球からは約4000光年離れています。比較的新しい白色矮星を中心に持ち、その表面温度は約20万度、光度は太陽の1100倍、知られている中では最も熱い星の部類に入ります。
NGC 2440:新しい白矮星の繭 とも座

(C)NASA

地球からは約1万光年離れています。「NGC 2818」は「NGC 2818A」と言う散開星団の中に存在しています。ですが星雲自体の速度が散開星団の星々と異なるので、距離や年齢を同じとしていないようです。
NGC 2818 らしんばん座

(C)NASA

地球からは約2000光年離れています。非対称の原因はわかっていません。リングのような姿と南にあることからこの名前がつけられました。
NGC 3132:サザンリング星雲 ほ座

(C)NASA

地球からは約1780光年離れています。周りのガス雲の複雑さの原因はわかっていませんが、可能性としては対称軸を歳差運動する二元星の一部であるとの仮説が考えられています。
NGC 5189 はえ座

(C)NASA

地球からは約2000光年離れています。イオン化された酸素、水素、および窒素原子からの輝きはそれぞれ青色、緑色および赤色に着色されています。
NGC 6369:小さなゴースト星雲 へびつかい座

(C)NASA

地球からは約4000光年離れています。2つの対称ガス星雲は、おそらく2元星系の一部として観察された最も熱い白色矮星の1つが中心に隠されています。
NGC 6537:赤い蜘蛛の惑星星雲 いて座

(C)NASA

地球からは約6500光年離れています。激しく暑い中央の星(14万度)からの風と放射線は、星雲のような特徴を明らかに作り出しました。星雲の実際の直径は約0.8光年、これは太陽系の約600倍です。
NGC 6751 わし座

(C)NASA

地球からは約1600光年離れています。t中心部に見えている核が残っていて放出途中の可能性のある星雲で、まだ最終形態ではないと考えられています。
PK 164 +31.1 やまねこ座

(C)NASA

 

 

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まとめ

 

🌟惑星状星雲についてまとめました。

 

惑星状星雲は色々な形状があってとても面白い天体です。成り立ちなども合わせて

まとめましたので参考にしてください。

 

 

 

 

 

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