(C)NASA/ヒミコ
先ごろ、モンスター銀河の活動を捉えたと国立天文台が発表しました。
120億光年以上も離れた場所まで、日夜観測されています。
そんな遠方の銀河についてまとめました。
近傍銀河と遠方銀河の違いとは
天の川銀河の近傍にある銀河は、宇宙誕生から138億年進化した、現在の姿を見せて
います。一方で遠方銀河は、光が到達するのにかかった時間だけ「過去の姿」、すな
わち、宇宙誕生から数億年のという、若い状態の姿を見ていることになります。
近傍銀河 | 遠方銀河 | |
例 | 天の川銀河 | 再遠方で発見された初期の宇宙 |
質量 | 太陽の1兆倍の質量を持っている大型の銀河 | 天の川銀河の100分の1に満たない、小さな銀河 |
星間物質 | 恒星の10分の1ほどの量 | 質量の数10%をしめるガスやダストを含んでいる |
物質の組成 | ー | 現在よりも重元素が少ない |
スターバースト銀河 | 少ない | 多い |
活動性 | 「ライナー」と呼ばれる低光度の活動 | 「クェーサー」と呼ばれる極めて強力な活動 |
重元素は電磁波の放射によって、ガス雲からエネルギーを抜き冷却をします、原始的
な水素ガス雲では、その効果が弱いので、おそらく宇宙初期では、星形成の起こり方
が異なって、巨大な高温の恒星が形成されていたと考えられます。
その根拠としては、「ヒミコ」と名付けられた、宇宙誕生後8億年の天体が挙げられ
ます。「ライマンαブローブ」と呼ばれる巨大な電離ガス雲が、恒星の集団3つを包み
込んで、星形成を盛んに起こしていると考えられています。
銀河でスターバーストが起こると、銀河中のガスが急激に消費され、大質量星からの
放射や、超新星爆発による銀河風もガスを吹き飛ばして、星生成活動を停止してしま
います。
では、宇宙初期はどのような星形成の、可能性があるかというと、銀河同士が盛んに
衝突合体して成長すると考えられていました。ここで、思い出して欲しいのが、先ご
ろ観測された「モンシター銀河」です。
(C)国立天文台/モンシター銀河の想像図
「モンスター銀河」というのは衝突合体して、お互いの重力の影響で、狭い範囲で
ガスが圧縮状態に陥り、星形成が猛烈に進んでいる状態になっている銀河のことを
呼んでいます。
銀河衝突のメカニズムの解明などの課題は、まだたくさんありますが、「モンスター
銀河」の証拠が観測できたのは初めてのことで、素晴らしい発見です。また、少しづ
つ、集められたパズルのピースを、合わせていっている工程がワクワクしますね。
宇宙からするとほんの小さな一部分のピースがあっただけのことですが、人類の宇宙
の謎解きには大きな功績ですね。
(C)国立天文台/活動銀河内のガスの分布
最遠方銀河について
最遠方銀河と呼ばれる領域は、現在から134億年前の、ビッグバンからは4億年後の
初期宇宙です。地球からの距離は320億光年になります。
この銀河は、天の川銀河の25分の1の大きさで、質量はわずか1%しか持たない、小
さな銀河です。もの関わらず、観測できるのは、望遠鏡の技術だけではなく、銀河が
明るいからです。
なぜ明るいかというと、通常考えられるのは、星形成が星の輝きを放つので、それだ
けたくさんの星形成が活発に起きていると考えらえれます。その星形成率は、現在の
天の川銀河の約20倍の効率にもなります。
星遠方銀河を観測するには光学観測は望めません、星形成の明るさを頼りにしてはい
ますが、活動中のガスやダストが温められて、赤外線で明るくなるのを、観測するの
で、赤方偏移による波長を検出しています。
暗く小さな初期宇宙の銀河でも、活動が活発なおかげで、画像として捉えられてい
ます。
(C)NASA/GN-z11(2017年2月の時点で最遠方銀河)
宇宙誕生0秒後から3億年後ごろまでについて
「宇宙誕生0秒後から3億年後ごろまで」についてまとめたページは
こちらをご覧ください。
まとめ
遠方の銀河についてまとめました。
「モンスター銀河」のニュースを聞いたときのドキドキやワクワク感は、
天文ファンや宇宙に興味のある方なら共有したのではないでしょうか。
遠く離れた最遠方の宇宙で起こっている出来事の、想像ではないところが垣間見れた
瞬間です。こうやって、次々に新しい発見があるので、宇宙は楽しいですね。
もし、宇宙に興味のない方は、入り口に立ってないで、中に入ってみませんか?
まずは、夜空をあなたの部屋の窓から、眺めて見るところから。。。
どうでしょう。
良い観望でありますように。。。
コメント