星コラム「宇宙誕生0秒後から3億年後ごろまで」について

宇宙誕生
This picture showcases a gravitational lensing system called SDSS J0928+2031. Quite a few images of this type of lensing have been featured as Pictures of the Week in past months, as NASA/ESA Hubble Space Telescope data is currently being used to research how stars form and evolve in distant galaxies. Gravitational lensing can help astronomers study objects that would otherwise be too faint or appear too small for us to view. When a massive object — such as a massive cluster of galaxies, as seen here — distorts space with its immense gravitational field, it causes light from more distant galaxies to travel along altered and warped paths. It also amplifies the light, making it possible for us to observe and study its source. In this image, we see two dominant elliptical galaxies near the centre of the image. The gravity from the galaxy cluster that is the home of these galaxies is acting as the aforementioned gravitational lens, allowing us to view the more distant  galaxies sitting behind them. We see the effects of this lensing as narrow, curved streaks of light surrounding both of the large galaxies. This image was observed by Hubble as part of the Sloan Giant Arcs Survey programme.




(C)NASA

 

宇宙の始まりについては色々な考え方があるのですが、

 

現在では、宇宙には推定138億年という年齢があり、

この「年齢があるということは、始まりがあったということになる」

というのが主流の考え方です。

 

 

宇宙の始まりについてを簡単にまとめたページはこちらをご覧ください。

星コラム「宇宙の始まりについて」
宇宙の始まり=ビッグバンのということを学びましたが、いまだに、新しい発見があるのかと思うと宇宙は謎だらけだなと思います。宇宙論は難しい面もありますが、多くの天文学者の方々や、天文ファンの方々によって、よりわかりやすく、伝えられようとしています。

 

 

ここで紹介するのは、

宇宙が誕生してから0秒後から、約3億年後ごろまでの流れを、まとめてみました。

 

 

宇宙誕生0秒後

 

宇宙がどのように誕生したのかは、解明はされていません、また、多くの物理学者や

天文学者の方々が、色々な説の裏付けに、力を注いでいます。

 

その中でも、有名な物を紹介します。

 

1982年にアメリカの物理学者アレキサンダー・ビレンキン博士は、

宇宙は「無」から生まれたという論文を発表しました。

この「無」の状態とは、物質がなく、空間もないことを指します。

 

生まれた瞬間の宇宙は、

原子(1mmの1000万分の1程度)や、

原子核(1mmの1兆分の1程度)よりも小さいと考えられています。

 

※この仮説は、一般相対性理論と量子論から導き出された説です。

 

 

宇宙誕生10のマイナス34乗秒後まで

 

生まれた瞬間の宇宙は、原子よりも小さなものだったという説を軸として、

誕生直後にこのミクロの宇宙は、想像を絶するほどの急激な膨張を遂げたと、

いう説が有力視されています。

 

どれほど急激かを大雑把にいうと、

1秒の1兆分の1の、1兆分の1の、さらに1兆分の1ほどの間(10のマイナス34乗秒)に、

宇宙は、1兆倍の、1兆倍の、さらに1000万倍の大きさ(10の43乗倍)になった、

と考えられています。

 

この宇宙誕生直後の急激な膨張は、

「インフレーション」と呼ばれています。

言葉の意味は「膨張」を意味する英語ですが、物価の継続的な上昇を意味する経済用語

としても聞き覚えがあるでしょう。

 

この「インフレーション」としたのは、1980年ごろ、インフレーション理論を

提唱したアメリカのアラン・グース博士が、誕生直後の宇宙の膨張の名前に、

あてました。

 

宇宙用語の「インフレーション」は「ただの膨張」ではありません。

「加速的な膨張」です。

これは時間がたつほど、速度を増してゆくような膨張です。

 

「無」の状態から、ミクロの宇宙にインフレーションを引き起こすほどの、

エネルギーが満ちていて、それらの強烈な圧縮による爆発の可能性など、

まだまだ謎の多い数秒後なのです。

 

 

宇宙誕生10のマイナス34乗秒後

 

宇宙の想像を絶する急な膨張、インフレーションにも終わりがあります。

ある時を境に、宇宙の膨張速度は急激に遅くなっていったと、考えられます。

 

例えば、走行中の車が急ブレーキをかけると、タイヤは摩擦熱で熱くなります。

これは車の運動エネルギーが、熱エネルギーに姿を変えたからです。

 

インフレーションが終了する時にも、同じようなエネルギーの移り変わりが、

起きました。

それまで、宇宙の加速的な膨張(インフレーション)を引き起こしていたエネルギーが、

別のエネルギーに変わったと考えられます。

 

別のエネルギーとは、物質と光と熱のエネルギーです。

 

つまり、

インフレーションが終了するのと同時に、宇宙には物質と光が誕生し、

高温の世界になりました。

この灼熱状態の宇宙誕生が、よく耳にする「ビッグバン」と

呼ばれるものです。

 

この瞬間に、どのくらいの温度になったかはよくわかっていませんが、1兆度以上は

あったと考えられています。

 

インフレーション終了直後に誕生した物質とは、素粒子たちのことです。

この頃の宇宙は、様々な素粒子がバラバラに空間を、飛び交っているような世界だった

と考えられています。

 

※「ビッグバン」は「宇宙誕生」を漠然と指す言葉としても使われます。

今回は、現代宇宙論の標準的な言葉使いに沿って、ビッグバンをインフレーション後に

起きた「灼熱状態の宇宙の誕生」という意味の言葉として、使用しています。

 

 

 

宇宙誕生1万分の1秒後

 

宇宙誕生から約1万分の1秒(10のマイナス4乗秒)後に、素粒子が飛び交うだけの宇宙に

大きな変化が訪れます。

 

この頃になると1兆度以上の灼熱状態から、幾分下がって、

1兆度程になってきました。

すると、バラバラに飛び交っていた、素粒子(クオーク)同士が結びつき、

「陽子」と「中性子」が誕生しました。

 

水素の原子核は陽子1つなので、この時に水素という元素が、宇宙に初めて生まれた

ということになります。

この段階では、陽子の周囲を電子が周る状態の水素原子には、まだ少し時間が必要で

したが、そのほかの元素事態も何一つ存在していませんでした。

 

 

宇宙誕生3分後

 

宇宙誕生から約3分後には、宇宙の温度がさらに下がって、10億度ほど

なりました。その頃には、水素以外の元素も誕生し始めます。

そうなると「核融合反応」も起き始めました。

 

バラバラに飛び交っていた陽子や中性子が融合し、さらにそうしてできた原子核に

他の原子核が融合し、やや大きな原子核ができてゆきました。

 

ビッグバンから20分間ほど、核融合反応は続きました。

 

20分ほどしか核融合が続かなかったのは、核融合反応が起きる条件は、

適度な高温と、適度な密度が必要です。宇宙が膨張をし続けていたので、次第に温度が

下がり、密度が広くなり、原子核の衝突が少なくなっていったと考えられています。

 

この時にできた元素は、ヘリウムとわずかなリチウムくらいでした。

このあと3億年程度の間は、宇宙に存在する元素はこれだけでした。

 

宇宙誕生38万年後

 

核融合反応によってヘリウム原子核が作られた後も、高温は続いたので、原子核と

電子は、バラバラに空間を飛び交っています。

 

宇宙誕生から約38万年後にも、宇宙の膨張はさらに広がっています。

その為に、宇宙の温度は3000度程度まで下がってきました。

 

高温で飛び回っていた原子核と電子は、ゆっくりと冷やされてゆく空間の温度の中で、

次第に速度を落としてゆきました。

 

そうなると、電子の帯びている負の電気と、原子核が帯びている正の電気が、

引き合って、原子核に捕まるようになってきます。こうして、原子核の周りを電子が

周るようになっていきました。

 

この状態が「原子」です。実に宇宙誕生から38万年も経って誕生しました。

 

それと、もう一つ、この原子が誕生することによって、宇宙は大変な変化をしてい

ました。

実はそれまでの宇宙は「不透明」でした。

それが透明な宇宙へと変わったのです。

 

どういう事かというと、原子が誕生する前は、光はまっすぐに進めませんでした。

空間を自由に飛び回る電子に邪魔されていたのです。

 

「霧」を想像してみると。分かりやすいでしょうか。

霧は微細な水滴の集まりで、霧の向こうからくる光は、水滴に邪魔されてまっすぐに

進めません。霧が不透明で、向こう側が見渡せない理由です。

 

原子が誕生する前の宇宙では、霧の水滴のような感じで、電子が光の行く手を阻んでい

たという事なのです。

原子が誕生してからは、電子は原子核と結びついて、光が進む空きができたのです。

 

まさに霧が晴れたようなイメージです。宇宙はこの時を境に「透明」な世界を手に

入れます。

これを「宇宙の晴れ上がり」と呼んでいます。

 

 

 

宇宙誕生3億年後ごろまで

 

原子が誕生したあとの宇宙は、特に大きな変化はないまま、

約3億年間続きました。

この時代は「宇宙の暗黒時代」と呼んでいます。

 

もちろん、大きな変化はないですが、のちに誕生する恒星や銀河などが、生まれる

環境を整える時間と考えられています。

 

この時代は水素とヘリウムのガス(気体)だけですが、ガスにも少ながらず、質量が

あり、質量があると、重力が発生します。

 

また、ガスの分布も一定ではなく密度のムラがあり、その小さな差から、周囲のガスを

取り込むガスと、取り込まれるガスができてきて、次第に、ガスの濃淡の差がはっきり

しだし、大きなガスは小さなガスを吸収し、どんどんと成長していったのです。

 

この大きなガスの塊がやがて、天体が生まれてることになるのですが、

それは天体の誕生で紹介します。

 

 

簡単にまとめたページはこちらをご覧ください。

星コラム「星と銀河の進化について」
星と銀河の進化についてまとめました。宇宙が誕生してすぐには星は存在していませんでした。長い時間をかけて、始まりの星が誕生し、それらが銀河が作られ、銀河系と呼ばれるほどたくさんの銀河ができました。

 

宇宙が誕生から約3億年後から約92億年後ごろまで

 

まとめたページはこちらをご覧ください。。

星コラム「宇宙誕生3億年後ごろから92億年後ごろまで」について
宇宙が誕生してから約3億年後から、約92億年後ごろまでの流れを、まとめてみました。宇宙誕生から約3億年たったころ、ガスの濃い部分は、あちこちで太陽の重さの100分の1くらいのガスの塊へと成長してゆきました。

 

未来の宇宙について、銀河が衝突している

 

まとめたページはこちらをご覧ください。

星コラム「未来の宇宙について、銀河が衝突している」
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まとめ

 

宇宙が誕生してから0秒後から、約3億年後ごろまでの流れを、まとめてみました。

 

宇宙誕生については、いろいろな説がありますが、

大筋でこのような流れが主になってきています。

とはいえ、宇宙の話は、新説がいつでてもおかしくないので、

それも楽しみにしてもいいですね。

 

あなたの考えはどうですか?

参考になれば幸いです。

 

 

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