(C)国立天文台
2019年には「部分日食」ですが2回もあります。
ここで改めて、日食の仕組みについて紹介します。
ご存知の方のは復習のつもりで、みてください。
月の影が移動する仕組み
(C)国立天文台
日食が見られる地域は、西から東へ移動します。
太陽や月は、皆さんご存知の通り東から昇って西へ沈みます。
「日食が見られる地域が西から東へ移動する」と聞くと、太陽や月と逆行している
ような錯覚を起こしそうになりますね。
地球にいる私たちから見る日食は、太陽が月に遮られて欠けて見える現象です。
これを宇宙空間で考えて見ると、日食とは、太陽ー月ー地球が直線上に並んで、
月の影が地球に落ちる現象です。
部分日が見られる地域 | 月の影が落ちている地域 |
金環日食が見られる地域 | 月の影が落ちている地域の中心付近 |
月は北極側から見ると地球の周りを左回りに公転しています。
地球に落ちる月の影は、月の公転に伴って、西から東へ移動します。一方で、地球も
北極側から見ると、左回りに自転しています。
地表は、地球の自転に伴って、西から東へ移動しています。
これらを時速で計算すると、地球に落ちる月の移動速度は、時速約3650kmです。
地表の移動速度というと、時速約1675kmです。
地球に落ちる月の影は、地表の移動速度を上回って、西から東へ移動するということ
になるのです。
補足ですが、月は、地球の周りを1周あたり約27.3日かけて公転しています。
地表は、1周あたり約24時間で回転します。
地球の中心から一定時間内の回転角度を比べると、月よりも地表の方が大きくなり
ます。このため、地表が西から東へ移動すると、月は地表の回転速度についてゆけず、
取り残され、地表から月は東から西へ移動しているように見えるのです。
金環日食と皆既日食の違い
(C)国立天文台
日食にはいくつか見え方の違いで名称が違います。
月の影が落ちている中心付近での日食の見え方では、「金環日食」と「皆既日食」と
同じようですが少し違う日食があります。
違いはなんでしょうか。
実はこの二つの違いは、地球と月との距離の違いから生まれる差です。
簡単に結論から言うと。。。
月が
地球から |
遠く
にある |
金環日食 | 月の本影が地表まで届かず、金環日食になる。本影の延長線上の擬本影が落ちている地域が金環日食となります。 |
近く
にある |
皆既日食 | 月が近くにあるため、月の本影が地表に届き、皆既日食となる。本影が落ちている地域で皆既日食となります。 |
こんな感じです。
日食が起きている時は、太陽ー月ー地球が直線上に並んで、月が地球に影を落と
しています。月に影には、薄い影の「半影」と濃い影の「本影」の2種類がありま
す。
半影 | 太陽からの光が、一部遮られた、薄い影 |
本影 | 太陽からの光が、全て遮られた、濃い影 |
金環日食
金環日食が起きている時の地球では、月の本影が地表まで届かずに、本影の
延長線上に「擬本影(ぎほんえい)」と言う部分ができます。
この擬本影が落ちている地域が、金環日食が見られる地域となります。
擬本影の通り道が「金環日食帯」と呼ばれます。
皆既日食
皆既日食が起きている時の地球では、月の本影が地表まで届いて、本影が落ちて
いる地域が皆既日食が見られる地域となります。
本影の通り道が「皆既日食帯」と呼ばれます。
金環日食帯や皆既日食帯の面積は、広くても地球の全面積の数%程度です。
部分日食
ちなみに、
部分日食は、月の半影が落ちている地域で起こるのが、部分日食となります。
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地球と月の距離で決まるとは。。。
地球と月の距離は、最も近い時と、遠い時とでは約11%変化します。
月の公転軌道が楕円形をしていて、地球がその中心にないからです。
月が地球から遠い時は、月の見かけの大きさが太陽の見かけの大きさよりも小さく、
この時に日食が起きると、太陽の縁が月からはみ出して見えます。
その時、金環日食となります。
例えば、月の本影がギリギリ地表に届くような場合は、地域によって金環日食と
皆既日食と、別々の日食が見られることが起こります。
半影だけが地球に落ちる場合、本影や擬本影が地球から外れしまうと、部分日食だけに
なります。
日食の観測の注意点
直接太陽を見ないようにしましょう。
サングラスも避けましょう。日食専用の「日食めメガネ」や「日食グラス」などを
用意しましょう。
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簡単な解説と日食リストが付いている方が良い方向けです。 |
遮光度13なので安心です。一般的なタイプです。 |
4個セットがなんだかお得ですね。
|
日食が起きにくい理由
日食が起きにくい理由についてまとめたページはこちらをご覧ください。
これからの日食の予定
日付 | 種類 | 見える地域 |
2018年07月13日 | 部分日食 | オーストラリア南部、南極など |
2018年08月11日 | 部分日食 | ヨーロッパ北部、アジア北部など |
2019年01月06日 | 部分日食 | 日本(全国)、アジア東部、北太平洋など |
2019年07月03日 | 皆既日食 | 南太平洋、南米など |
2019年12月26日 | 金環日食 | アラビア半島、インド、東南アジアなど |
2020年06月21日 | 金環日食 | アフリカ、アジア、太平洋など |
2020年12月15日 | 皆既日食 | 南太平洋、南米、南大西洋など |
2021年06月10日 | 金環日食 | 北極付近 |
2021年12月04日 | 皆既日食 | 南極付近 |
2022年05月01日 | 部分日食 | 南太平洋、南米など、 |
2022年10月25日 | 部分日食 | ヨーロッパ、アフリカ北部、中東、インドなど |
2023年04月20日 | 金環皆既日食 | 南インド洋、東南アジアなど |
2023年10月15日 | 金環日食 | 北米、南米など |
2024年04月09日 | 皆既日食 | 北米、太平洋など |
2024年10月03日 | 金環日食 | 南米南部、南太平洋など |
2025年03月29日 | 部分日食 | 北大西洋、ヨーロッパ北部など |
2025年09月22日 | 部分日食 | 南極、ニュージーランドなど |
2026年02月17日 | 金環日食 | 南極 |
2026年08月13日 | 皆既日食 | 北極付近、ヨーロッパ西部など |
2027年02月07日 | 金環日食 | 南太平洋、南米、南大西洋など |
2027年08月02日 | 皆既日食 | アフリカ北部、インド洋など |
2028年01月27日 | 金環日食 | 南米北部、大西洋など |
2028年07月22日 | 皆既日食 | インド洋、オーストラリア、ニュージーランドなど |
2029年01月15日 | 部分日食 | 北米など |
2029年06月12日 | 部分日食 | 北極付近、ヨーロッパ北部など |
2029年07月12日 | 部分日食 | 南米南部 |
2029年12月06日 | 部分日食 | 南極 |
2030年06月01日 | 金環日食 | ヨーロッパ、ロシア、日本 |
2030年11月25日 | 皆既日食 | アフリカ南部、南インド洋、オーストラリアなど |
※日付は、食が最大にある時を日本時間で表しています。
この他の天体現象はこちらをご覧ください。
まとめ
日食についてまとめました。
なんとなく原理はわかっていても、改めてまとめてみました。
観測には十分気をつけて、目を痛めないようにしましょう。
参考になれば幸いです。
良い観望でありますように。。。。
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