(C)NASA
宇宙の始まりについては色々な考え方があるのですが、
現在では、宇宙には推定138億年という年齢があり、
この「年齢があるということは、始まりがあったということになる」
というのが主流の考え方です。
そこから宇宙誕生から年月を遡って、宇宙的に大事な経過年ごろについて
まとめていきます。
宇宙が誕生してから0秒後から、約3億年後ごろまでの流れを、
まとめたページはこちらをご覧ください。。
宇宙の始まりについてを簡単にまとめたページはこちらをご覧ください。
ここで紹介するのは、
宇宙が誕生してから約3億年後ごろから、約92億年後ごろまでの流れを、
まとめてみました。
宇宙誕生3億年後ごろというのは人類が考える、宇宙的にはとても大きな節目で、
3つの項目に分かれています。
宇宙誕生3億年後ごろ①
宇宙誕生から約3億年たったころ、ガスの濃い部分は、あちこちで太陽の重さの
100分の1くらいのガスの塊へと成長してゆきました。
これは宇宙で「天体」と呼べる初めてのもので、「星のタネ(原始星)」と言える
ものです。
この後、この星のタネたちは、1万年から10万年という宇宙的には短期間で、
周囲から集められるだけのガスを集めて、巨大な恒星「ファーストスター(第一世代
の恒星)」へと成長してゆきます。
恒星とは、太陽のように自分で輝ける天体のことで、核融合反応で発生する
エネルギーが、その輝きの源となっています。
ファーストスターはどれも非常に巨大な恒星だったと、考えられています。
その重さは太陽の数十倍から100倍もあったと言われています。
表面温度は太陽が6000度に対し、ファーストスターは、10万度に達していたと
推定されています。
恒星の色は高温になるほど青白くなるので、ファーストスターも青白く輝いていて、
その明るさは、太陽の数十万倍〜100万倍だったと考えられています。
宇宙誕生3億年後ごろ②
上記で説明した、
「ファーストスター」は実は、誕生から300万年後になると、
「超新星爆発」を起こすと考えられています。
その仕組みは、生まれたばかりのファーストスターの中心部では、核融合反応が
起き、水素の原子核からヘリウムの原子核が合成されます。
やがて、中心部で水素が無くなると、今度はヘリウム同士の核融合反応が起こって、
炭素の原子核が合成されます。
このように恒星の中心部では、軽い元素の原子核が燃え尽きるたびに、より重い
原子核が核融合反応の燃料に使われるようなって、さらに重い元素の原子核が
合成されます。
いわば、恒星は宇宙における「元素製造工場」と言えるでしょう。
そんな元素の製造工場でも、年数が経過し、恒星の内部に鉄ができるころには、
地球に例えると老朽化のような事態がやってきます。
というのも、鉄は最も安定的な原子核で、それ以上の核融合反応が進まないのです。
それに加え、ファーストスターの中での変化もやってきます。
恒星を縮める方向に働く重力と、膨らます力の働きのガスの圧力のバランスが
崩れ、恒星は膨張を始めます。
おおよそのファーストスターは、半径が元の100倍以上にまで膨れ上がっていたと、
考えられています。
この膨張は止められず、超新星爆発のカウントダウンへと、向かって行くのです。
超新星爆発を迎えて、ファーストスターは役目を終えるのですが、大いなる遺産を
残してゆきます。それは、この爆発によって、様々な元素が宇宙にばら撒かれます。
ファーストスターが誕生する前には、水素とヘリウムくらいしかなかった宇宙に、
様々な元素が増えてゆき、それらを元にして、第二世代以降の恒星が作られること
になるのです。
私たちの体を作っている元素も、このようにして、恒星が作ったものなのです。
(C)NASA/超新星残骸
宇宙誕生3億年後ごろ③
ファーストスターが超新星爆発を起こした時に、その爆発の中心でまた、宇宙的に
大変なことが起こっています。
超新星爆発が起きた後、元の恒星(ファーストスター)の外層のガスは吹き飛ばされ、
宇宙空間に広がってゆきます。一方で、爆発の中心部には、元の恒星の中心にあった
もの「なれの果て」が残されます。
これら中心部は自らの重力で潰れて、1点にちぢみます。
そうです、その1点と周囲にブラックホールが形成するのです。
ここで誕生するブラックホールの大きさは、30km程度。
理論上ではありますが、ファーストスターからできた場合、太陽の10倍程度の
質量のブラックホールが形成されることになります。その質量は全ては、
特異点と呼ばれる、密度が無限大に集中している点にあると考えられています。
意外にも、太陽の20倍程度以上の重さの恒星は、その生涯の最後に超新星爆発を
起こし、ブラックホールを残します。
いわば、宇宙の歴史の中でブラックホールは、常に作られ続けてきたのです。
宇宙誕生5億年後ごろ
宇宙の暗黒時代に成長したガスの濃い部分は、ファーストスター以外に「銀河」も
誕生させました。
私たちの住む太陽系が属している、「天の川銀河」は1000億〜数千億個もの
恒星が集まってできています。直径は10万光年にも達するほどです。
このような多数の恒星からなるの天体が銀河ですが、どの程度の数の恒星が
集まれば銀河と呼ぶか、という明確な定義はありません。
宇宙に最初にできたのは、比較的少数の恒星からなる「銀河のタネ(原始銀河)」
だったと考えられています。どのくらいの数の恒星からなる集団が、いつ誕生した
のかはよくわかっていません。
ただ、天文観測から、宇宙誕生から約5億年後には、すでに銀河と呼べるものの
存在がわかっています。
銀河は、何億年や何十億年という歳月をかけて、小さいものから大きなものへと、
成長していったと、考えられています。
原始銀河は、近くの原始銀河と重力によって引き合い、衝突と合体を繰り返し、
徐々に大きな銀河へと成長していきました。
宇宙誕生8億年後ごろ
宇宙誕生から8億年頃には、太陽の10億倍程度の重さの、超巨大なブラックホールが
存在していたことがわかっています。
恒星が超新星爆発を起こした後に、残される残骸の中心に存在したブラックホール
の重さは太陽の10倍程度でした、この小さなブラックホールがどうやって超巨大な
ブラックホールになったでしょうか?
詳しい経緯は不明なのですが、考えられる成長方法は2つあります。
一つは、ブラックホール同士が重力で引き合い、合体する方法、もう一つは、
ブラックホールが周囲のガスや恒星などを、飲み込んでゆく方法です。
超巨大ブラックホールの中には、周囲のガスを飲み込みながら、強烈なジェットを
吹き出す「活動銀河核」と呼ばれるものが数多くあります。
このような超巨大なブラックホールは、銀河の中心にあることがわかっています。
大きい銀河ほど、その中心にあるブラックホールも大きいということもわかって
いるので、銀河の成長と密接な関係があると考えられていますが、
未だ謎の多い分野でもあります。
宇宙誕生92億年後ごろ
宇宙誕生の92億年後と言われるよりも、今から46億年前と言われると、
何が起こったのか想像できるでしょう。
そうです、この頃に私たちが住む太陽系が誕生しました。
ファーストスターの超新星爆発でばら撒かれたいろんな元素のおかげで、
宇宙には重い元素が増えてゆきました。
そうすると、宇宙の中に岩石や氷からなるチリができるようになって、時期を
同じくして、銀河の衝突や合体、また質量の重いブラックホールなどの合体と
いった、いわば宇宙を掻き回す要素があふれていました。
こうしたチリが、重力の濃い部分に集まり、自らの重力で収縮して、原始恒星が
誕生します。この原始恒星の周囲には、その周囲のガスや塵をさらに集める重力が
働き続け、円盤状の原始惑星系円盤を形成します。
この円盤の中でも、塵などの衝突や合体が繰り返されてゆき、やがて、惑星へと
姿を変えてゆくのです。
太陽系惑星の形成についてはこちらをご覧ください。
宇宙が誕生から0秒後から約3億年後ごろまで
まとめたページはこちらをご覧ください。
未来の宇宙について、銀河が衝突している
まとめたページはこちらをご覧ください。
今から約80億年後から約100兆年後のごろまで
まとめたページはこちらをご覧ください。
まとめ
宇宙が誕生してから約3億年後から、約92億年後ごろまでの流れを、
まとめてみました。
宇宙誕生については、いろいろな説がありますが、
大筋でこのような流れが主になってきています。
とはいえ、宇宙の話は、新説がいつでてもおかしくないので、
それも楽しみにしてもいいですね。
長い時間をかけて、私たちの地球ができ、生命までも誕生しました。
何かが無くても多くても成り立たたない形成過程を思うと、
神秘としか言えないですね。
あなたの考えはどうですか?
参考になれば幸いです。
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