このページは冬の星座の神話「エリダヌス座」です。
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「エリダヌス座」は川の名前ですが、
その川にもまつわる神話が残されています。
簡単に紹介します。
「エリダヌス座」の神話
主人公は「ファエトン」という太陽神ヘリオスと海の妖精クリュメネとの
間に生まれた息子です。
「ファエトン」とは、ギリシャ語で「輝けるもの」を意味します。
ある時、ファエトンは、大神ゼウスとイオの息子であるエパフォスと
つまらないことで、口論となりました。
その内容とは、
「ファエトンがヘリオス神の息子ということが、信じられない。」
というものでした。
というのも、この時に、クリュメネは既に、エジプトの王メロプスと
結婚していました。
悔しさのあまり、母親のクリュメネに訴えました。
すると、「ヘリオス神の元へゆき、我が子だと、証明してもらいなさい。」
と提案して来ました。
そこで、ファエトンは父ヘリオス神に、会いに行こうと、
決心します。
太陽神ヘリオスの住む神殿は、世界の東の果てにありました。
苦難の旅路ではありましたが、父に会いたい一心で、
ファエトンはヘリオス神の神殿にたどり着きます。
立派になって、一人ではるばる遠くから、会いに来た息子を、
ヘリオス神は喜んで、迎え入れました。
父がいなくて寂しかった、と語る息子を不憫に思ったヘリオス神は、
何か望みがあるなら、叶えようと約束しました。
ファエトンは喜んで、ヘリオス神が太陽を乗せて、毎日空を翔る
太陽馬車に乗りたい!と、言いだしました。
太陽馬車とは、毎日ヘリオス神が、曙の女神エオスに先導されて、
東より昇り、天空の道を西へたどる光り輝く、馬車のことです。
これを牽く4頭の駿馬は、ビュロエイス(火)、エオオス(曙)、
アイトン(燃え盛る)、フレゴン(燃える)。
いずれ劣らぬ荒馬です。
太陽は熱く、馬車を引く馬は気性が荒く、ヘリオス神でさえ手綱を
捌くのは至難の技です。その上、太陽馬車は一人乗り用なので、
ヘリオス神が同乗するわけにもいきません。
驚いたヘリオス神は、なんとか別の願いに変えさせようとしましたが、
ファエトンは全く聞き入れません。
しかし、神が約束を破ることはできず、仕方なく、
ファエトンを太陽馬車に、乗せることになってしまいました。
朝が来て、太陽馬車は東の地平線から、空へ駆け出します。
ファエトンが太陽の熱で、焼かれないように、ヘリオス神は、
特製の薬品をつけてやりましたが、太陽の熱さは想像以上です。
今更ながら、ファエトンは父の助言に従うべきだった、
と後悔していました。
そんな時、気性の荒い馬たちは、乗り手がいつものヘリオス神ではない
ことに、気がつき始めました。
御者の言うことを聞かず、道から外れ始めたのです。
すると、空にいる恐ろしいライオンが、吠え立て、
サソリは毒針で攻撃して来ます。
驚き、慌てたファエトンは手綱を落としてしまいます。
これを機に、馬たちは好き勝手に空を駆け回り、
地上近くに降りたかと思うと、天高く昇り、地上も天上の世界も、
太陽に焼かれ、大火災となったのです。
一説によると、この時の天空が焼け、傷となったのが「天の川」という
話もあります。
この惨状を見かねた、大神ゼウスは雷を放ち、
太陽馬車を破壊してしまいます。
炎に焼かれたファエトンは真っ逆さまにエリダヌス川に落ちてゆきました。
この川がのちに星座として天に昇り、「エリダヌス座」となりました。
エピローグ
ファエトンはこの時、助かりませんでした。
太陽の熱で炎に包まれたのか、ゼウスの雷が直撃したのか、
はたまた、川で溺死したのかは、わかりません。
そんなファエトンの死を嘆き悲しんだのは、姉妹のヘリアス達でした。
その場で涙を流しながら、あまりの悲しさで、
ポプラの木になってしまいました。
この川の近くに「琥珀」が多いのは、ポプラの木から滴り落ちた涙が、
地面に染み出したものだと言われています。
ファエトンの名はその後、ギリシア人の最も嫌う悪徳「傲慢」の
象徴として語り継がれることとなりました。
「エリダヌス座」の見つけ方
「エリダヌス座」は冬の星座です。
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まとめ
「エリダヌス座」の神話を紹介しました。
星座の神話にしては、主人公は川ではないところが少し釈然としませんね。
「エリダヌス座」は神話の中に登場しますが、
実際のナイル川とも、チグリス、ユーフラテス川とも言われています。
その土地の、大河に例えられることが、多かったようです。
また、細かいところは色々違う解釈もあって、太陽神のアポロンと
なっている説もあるようです。
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