(C)NASA/Ⅰa型超新星残骸
天体の距離を測りのにはいくつかの方法があります。
実は天体の距離を決めるのには決まりごとが存在します。
同じモノサシを使わないと、距離の共有ができないからです。
大まかに、測る距離によって物差しが変わります。
今回は地球から数十億光年までの測り方について紹介します。
数十億光年先まで見えるⅠa型超新星爆発を利用する
セファイド変光星でも観測できない、遠い宇宙にある天体の距離を測る方法はまた
別にあります。
そのための準備には、本当の明るさがわかっていて、セファイド変光星よりも明るい
天体を探さないといけません。
その候補の一つが「Ⅰa型」と呼ばれる超新星爆発です。
超新星爆発は、恒星の寿命が尽きて最期に起こす巨大な爆発です。その爆発の性質に
よって分類があります。「Ⅰa型」超新星爆発は、恒星の外層が放出され、中心部が残っ
たような白色矮星が起こす爆発です。
「Ⅰa型」超新星爆発を起こす白色矮星のそばには、多くの場合、別の恒星が存在して
います。その恒星から白色矮星にガスが降り注ぎます。
そうして白色矮星の質量が、太陽の質量の約1.4倍を超えると、その重さで自分自身を
支えきれなくなり、超新星爆発を起こして、白色矮星ごと吹き飛んでしまうのです。
この時の爆発の明るさは、銀河の明るさに匹敵するほどで、非常に遠くでも観測する
ことができます。
そして、さらに「Ⅰa型」超新星爆発が有効である理由が、爆発を起こす限界の質量が、
太陽の約1.4倍と計算されていて、どの爆発もほぼ本当の明るさが一定になると、考え
られています。
距離がわかっている銀河内で起きた「Ⅰa型」超新星爆発を観測して、本当の明るさを
求めることができれば、この「Ⅰa型」超新星爆発の距離を測るための指標として、使用
することができます。
ただ、最近の研究では、この測り方の問題点が見つかっています。計算上、本当の明る
さが、ほぼ一定と考えられていたのですが、「完全に一定ではない」と言う方向になっ
てきて、セファイド変光星を利用した方法よりも、信頼性が落ちるのです。
しかしながら、この「Ⅰa型」超新星爆発を利用した方法は、セファイド変光星が使えな
い数十億光年までの距離を測る場合には有効とされています。
(C)NASA/球状星団
球状星団を利用する測り方
「Ⅰa型」超新星爆発を利用した方法以外にも、明るさの指標とできる天体があります。
それが球状星団です。
銀河内にある球状星団を観測すると、明るさはまちまちです。ですが、その銀河の中
で、一番明るい球状星団と、別の銀河の中で最も明るい球状星団は、ほぼ同じ明るさ
であることがわかってきました。
このことを利用して、銀河の中に多数ある球状星団を観測して、その中でも一番明るい
球状星団を割り出し、銀河までの距離を求めます。
球状星団を見分けることができないほど、遠い銀河の場合は、銀河自体の明るさを指標
にする方法もあります。銀河の場合は、明るさが一定ではなく、銀河によって1000倍
ほどの違いがあるので、よくよく観測しなければなりません。
銀河の特徴として、アンドロメダ銀河のような渦巻銀河には、銀河の回転が速いもの
ほど、明るくなっている特徴があります。このような特徴を利用して、遠くの銀河の
回転速度を調べることができれば、銀河の本当の明るさが推定でき、見かけの明るさと
比較することで、対象銀河までの距離が推測されます。
また、渦巻銀河だけでなく、楕円銀河でも本当の明るさと、楕円銀河内の星の動きの
運動性の関係から、距離を求めることができるようになっています。
その他の測り方
(C)march of gabriel
まとめ
地球から数十億光年までの距離の測り方はについて紹介しました。
遠くになるほど推測という形になりますが、それでも近い銀河などを利用して
測ることができる技術は素晴らしいなと思います。
そしてその方法を考えた方が素晴らしいなと思います。
参考文献・参考サイト一覧はこちら
コメント