星コラム「130億光年までの距離の測り方」

宇宙の距離の測り方




(C)NASA

 

天体の距離を測りのにはいくつかの方法があります。

実は天体の距離を決めるのには決まりごとが存在します。

同じモノサシを使わないと、距離の共有ができないからです。

 

大まかに、測る距離によって物差しが変わります。

 

今回は地球から130億光年までの測り方について紹介します。

 

 

ハッブルの法則を利用する

 

数十億光年よりも遠くなると、超新星爆発の観測も難しくなるのです。

また明るそうな銀河でも、点状にしか見えなくなり、回転速度などを測定することも

困難です。

 

このような遠くの宇宙にある天体の距離を測るには、「ハッブルの法則」というものを

使います。

 

アメリカの天文学者エドウィン・ハッブル(1889~1953)は、1929年に「地球から遠い

銀河ほど、速く遠ざかっている」ことを発見しました。これは、宇宙が膨張している

ことを意味していて、天体が遠ざかる速度がわかれば、その天体までの距離が推定でき

ると考えられました。

 

ドップラー効果で天体の遠ざかる速度を知る

 

ここで、天体が遠ざかる速度を測るため、使われるのが「ドップラー効果」です。

 

「ドップラー効果」とは、音の波長の長さによる違いから距離を推測するもので、

身近な例では、救急車のサイレンの音は近づいてくると、高く聞こえ、逆に遠ざかると

低く聞こえます。

 

音の高さは、音の波長の長さで変わり、波長が短ければ高く、長ければ低く聞こえま

す。救急車が遠ざかる時には、波長が長く引き伸ばされているということになります。

また、早く遠ざかると波長は長くなり、音はより低く聞こえます。

 

そこで、音波のような性質を持つ「光」を使用します。光の場合は、波長は色が対応

していて、波長が短いと青く、長いと赤く見えます。光源が近づいてくる時には、

音波と同じように、光の波長は短くなり(青方偏移)、遠ざかる時には、波長が長くなり

ます(赤方偏移)。

 

そして、遠ざかる速度が速いと、波長はさらに長くなります。このような現象を利用し

て、天体からの光の波長を調べ、どのくらい長く引き伸ばされているのか、がわかれば

その天体が遠ざかる速度がわかるという方法です。

 

 

宇宙膨張の速度を示すハッブル定数

 

「ハッブル定数」とは、天体が遠ざかる速度と距離の対応関係を決める数値のことで、

ハッブル定数は宇宙膨張の度合を示しています。

 

宇宙にはあらゆる方向からやってくる、微弱な電波「宇宙背景放射」と呼ばれるものが

あります。これらを測定する技術が確立されているので、現在の「ハッブル定数」の

値は、約67.9km/(s/Mpc)とされています。

 

これは、距離が1メガパーセク(約326万光年)遠くなるごとに、天体の遠ざかる速さが、

毎秒約67.9km速くなる、ことを意味しています。

 

ただ、このハッブル定数の弱点は、銀河が遠ざかる速度には、宇宙膨張の速度だけで

なく、銀河が独自に運動する速度も含まれている点です。

 

銀河独自の運動毒度を無視できるほど宇宙膨張の速度が大きい遠方の銀河、例えば、

数億光年以上先の銀河でしか、ハッブルの法則による距離測定はできません。

 

現在、ハッブルの法則を利用して求められる、最も遠い銀河までの距離は、

約130億光年とされています。

 

 

さらにその先。。。宇宙の果てについて

 

 

宇宙の果てについての記事はこちらをご覧ください。

星コラム「宇宙の地平線について」
最近の望遠鏡は、地球から数十億光年離れた、かすかな天体でも検出できます、ですが限界というものはあります。望遠鏡の大きさや種類によるものではなく、宇宙そのものの性質に根ざす、超えられない壁の様なものがあります。

 

 

その他の測り方

 

星コラム「星までの距離の測り方」
星までの距離の測り方は、星の遠さによりいろいろ推測方があります。比較的近い星は「三角測量」で測れますが、遠くなるにつれ、明るさで推測します。さらに遠くは離れていく速度から推測しています。
星コラム「太陽までの距離の測り方」
太陽までの距離の測り方はについて紹介しました。太陽から地球までの距離は、現在では、惑星と地球の位置と、レーダーで観測した数値などから計算して、測ることができます。まずは太陽と地球の間の距離というのが正確であることが、大切で、さらに遠くの星などを測る時に役に立ちます。
星コラム「地球から300光年までの距離の測り方」
地球から300光年までの距離の測り方はについて紹介しました。300光年という比較的近距離では、「三角測量の原理」が使えます。とはいえ、衛星による宇宙からの観測で、その精度が上がりました。
星コラム「6500万光年までの距離の測り方」
地球から6500万光年までの距離の測り方について紹介しました。遠くに星を測るには近くにある星を利用しますが、その基準にする星までの距離が正確でないと誤差は大きくなります。最近は宇宙望遠鏡などを使って、より精度の高い観測ができるようになって、その誤差も少なくなってきています。
星コラム「数十億光年までの距離の測り方」
地球から数十億光年までの距離の測り方はについて紹介しました。遠くになるほど推測という形になりますが、それでも近い銀河などを利用して測ることができる技術は素晴らしいなと思います。

 

 

(C)march of gabriel

 

まとめ

 

地球から130億光年までの距離の測り方はについて紹介しました。

 

計り知れないような遠くでも、机上ですが距離を図ろうと、研究されています。

そのうちに、その精度は上がってゆくのでしょうか。

 

何億年の先かもしれないですね。。。

 

 

 

 

 

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