星コラム「宇宙の地平線について」

惑星




 

 

 

最近の望遠鏡は、地球から数十億光年離れた、かすかな天体でも検出できます、

ですが限界というものはあります。

 

望遠鏡の大きさや種類によるものではなく、宇宙そのものの性質に根ざす、

超えられない壁の様なものがあります。

いわゆる「宇宙の果て」です。

 

宇宙の果てとは

宇宙は137億光年前、ビッグバンという巨大な爆発で生まれた、という説が有力視

されています。そのため、137億光年より遠くにある宇宙からの光は、地球に届い

ていないことになっています。

 

この考え方から、地球から観測できる宇宙は、137億光年まで広がる泡状の空間で

定義されています。この空間の縁からは、どの方向からもビッグバンの名残の、

マイクロ波の放射が来るのを、電波望遠鏡が捉えています。

 

最も強力な望遠鏡でも、可視光ではこの時代の天体の観測はできません。宇宙膨張

の第一世代の星や銀河からの光は赤方偏移し、赤外線領域に移動しているから見る

ことができないのです。

 

 

地球からの距離と大まかな天体の位置

 

 ~1光分  1分  
 ~1光時間  1時間  太陽、水星、金星、火星、木星
~ 1光日 1日  土星、天王星、海王星、カイパーベルト
~ 1光年  1年  オールトの雲
 ~10光年  10年  アルファケンタウリ、シリウス
 ~100光年  100年 ベガ、アルデバラン
~ 1000光年 1000年  カノープス、ベテルギウス、プレアデス星団
 ~1万光年 1万年  オリオン大星雲、デネブ、わし星雲、キャッツアイ、イータカリーナ
~10万光年 10万年  カシオペヤ座A、天の川銀河の中心、きょしちょう座47
~100万光年 100万年  大マゼラン雲、小マゼラン雲
~1000万光年 1000万年  バーナード銀河、アンドロメダ銀河、M33、NGC55
~1億光年 1億年  M81、M82、コンパス座銀河、ケンタウルス座A、子持ち銀河、回転花火銀河、ソンブレロ銀河、おとめ座銀河団
~10億光年 10億年  はくちょう座A、0313-192
~100億光年 100億年  3C321、エイベル1689、
 ~137億光年 137億年  A1689-zD1

 

暗闇の先にあるもの

 

🌟1995年に、一見星のないような、おおぐま座の領域にハッブル宇宙望遠鏡を

向けて11日間観測しました。それが「ハッブル・ディープ・フィールド(深宇宙探

査)」と言われるもので、小さな領域に深宇宙の銀河が数千個も写っていました。

 

その中でも、比較的近いものは、はっきりと渦巻きや楕円の構造が確認できました

が、数十億光年、白億光年離れた銀河は小さく、不規則でした。その後もこの観測

は行われましたが似たような観測結果が得られています。

 

 

ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド

 

(C)NASA/ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド

 

🌟2009年にハッブルの新しい赤外線カメラを使って、再び深宇宙探査が行われま

した。この時の対象は「ろ座」で4日間行われました。最も微弱な赤外線銀河は

129億光年〜131億光年に相当します。これはビッグバンから6~8億年後という、

ハッブルが捉えた最も遠い銀河です。

 

このような観測結果により、天の川銀河が星で溢れているように、宇宙はどこでも

銀河であふれているという想定が考えられるようになりました。

 

 

宇宙のタイムマシン

 

遠方銀河からくる光は数十億年かかるので、私たちがみる光は銀河の一生の極めて

若い時を見ていることになります。なので、遠い銀河を見るほど、銀河は変わって

いっています。

 

クエーサーなどの活動銀河が、当たり前になると考えると、銀河の衝突や合体も

普通に起こっていると考えられます。時間を遡るにつれ、銀河構造は進化を遡る

ことになります。

 

探知できた遠方銀河のほとんどはは、形が不規則で、ガスや塵、そして第一世代の

明るい星です。その他の銀河は、これらの古い銀河から、進化してものというわけ

です。

 

宇宙の距離の測り方について

 

星コラム「星までの距離の測り方」
星までの距離の測り方は、星の遠さによりいろいろ推測方があります。比較的近い星は「三角測量」で測れますが、遠くなるにつれ、明るさで推測します。さらに遠くは離れていく速度から推測しています。
星コラム「太陽までの距離の測り方」
太陽までの距離の測り方はについて紹介しました。太陽から地球までの距離は、現在では、惑星と地球の位置と、レーダーで観測した数値などから計算して、測ることができます。まずは太陽と地球の間の距離というのが正確であることが、大切で、さらに遠くの星などを測る時に役に立ちます。
星コラム「地球から300光年までの距離の測り方」
地球から300光年までの距離の測り方はについて紹介しました。300光年という比較的近距離では、「三角測量の原理」が使えます。とはいえ、衛星による宇宙からの観測で、その精度が上がりました。
星コラム「6500万光年までの距離の測り方」
地球から6500万光年までの距離の測り方について紹介しました。遠くに星を測るには近くにある星を利用しますが、その基準にする星までの距離が正確でないと誤差は大きくなります。最近は宇宙望遠鏡などを使って、より精度の高い観測ができるようになって、その誤差も少なくなってきています。
星コラム「数十億光年までの距離の測り方」
地球から数十億光年までの距離の測り方はについて紹介しました。遠くになるほど推測という形になりますが、それでも近い銀河などを利用して測ることができる技術は素晴らしいなと思います。
星コラム「130億光年までの距離の測り方」
地球から130億光年までの距離の測り方はについて紹介しました。計り知れないような遠くでも、机上ですが距離を図ろうと、研究されています。そのうちに、その精度は上がってゆくのでしょうか。

 

 

 

まとめ

 

🌟宇宙の光が届くであろうと、想定されるのが宇宙が誕生してからの、137億年前

からの光を捉えるというのが考えられるわけですが、実際には131億光年あたりが

現在の最遠の画像となっています。

 

とはいえ、ハッブルが捉えていないだけで、137億光年先にあるであろう、ビッグ

バンの名残の宇宙背景放射が、存在すると考えられているので、これから先に何ら

かの形で、可視化できる時代がくるのかもしれませんね。

 

 

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