(C)NASA/トラピスト1f想像図
トラピスト-1は直径が太陽の約10分の1という大きさですが、
地球のような岩石惑星が相次いで発見された星系です。
まだまだ研究中で謎が多いですが、少しまとめてみました。
基本情報
星座 | みずがめ座 |
種類 | 恒星/2MASS J23062928-0502285 |
赤経 | 23h06m29.4s |
赤緯 | -0.5°02’29.2″ |
明るさ | 18.8等級 |
距離 | 39.5光年 |
🌟トラピスト-1は、地球から39.5光年という比較的近距離にある星です。この星と
惑星が一緒に星系を作っています。
どこにあるのか
(C)アストロアーツ/星空年間
「みずがめ座」のφ星のすぐ上くらいの場所にあります。「みなみのうお座」のα星
フォーマルハウトと「ペガスス座」のα星との線上になります。
秋の星座なので、秋の夜長にその辺りに、系外惑星があるんだ〜と、思いを馳せて
みましょう。
トラピスト-1について
直径は木星と同じくらいで、明るさは太陽の2万分の1程度。
表面温度は2560k(2286.850℃)と低いため、中心部で核融合反応を起こすことがで
きない「褐色矮星」と思われていましたが、スペクトル観測では、「赤色矮星」と判
定されました。「超低温矮性」とも呼ばれています。
ちなみに太陽の表面温度が5800k(5526.850℃)です。また、7つの惑星の軌道の大き
さは、太陽系の水星の軌道よりも、恒星に近い場所を公転しています。
この恒星はエネルギーの多くを赤外線で放っていて、その波長で観測されました。
ところが、2015年に南米のチリにある、トラピスト望遠鏡での観測結果が、明るさ
が、一定間隔で変光しているというものでした。
その原因は、3つの惑星が恒星の前面を、周期的に通過することによる、減光と判明
しました。こんな小さな恒星に惑星が見つかったのは初めてのことでした。
これ以降、望遠鏡の名前をとって、「トラピスト1」と呼ばれるようになりました。
その後の観測で、4つの惑星も発見され、合計で7つの惑星を有する星系であることが
判明しました。
なぜ注目されたのか?
「小さな恒星に7つの惑星」というだけが注目されたのではなく、この7つの惑星が
全て地球と同じ岩石惑星だったことが大きいです。さらには、内側の6つの惑星の
質量が地球の0.4~1.4倍、半径が0.77~1.13倍の範囲にあって、地球ととても良く似
ていることも拍車をかけます。
このうち、恒星に近い方から4番目〜6番目の惑星は、水が液体で存在する、ハビタ
ブルゾーン内にあります。水は生命の誕生にも、深く関わりがあり、地球外生命体の
存在する可能性が、期待されています。
(C)NASA
生命誕生の可能性の問題点
上記までの条件なら、かなり期待してしまうのですが、問題点もあります。
7つの惑星はどれも、自転周期と公転周期が一致していて、同じ面を恒星に向けて
います。ということは、半分は灼熱、逆側が極寒という過酷な環境が予想されます。
そんな中で、唯一希望的観測は、灼熱と極寒の間に当たる境目の場所が、適度な温度
が保たれているのではないか、ということです。
さらに、もう一つ問題があるのは、温度が低くても赤色矮星であることです。
赤色矮星の多くは、活発にフレアを起こします。この時、強いエネルギー放射線や、
大量の荷電粒子を放出するので、惑星を直撃すると、生命に重大な影響を与えると
考えられます。
このような問題はまだ研究段階で懸念される問題点として挙げられているので、
さらなる、観測と研究に期待したいところなのです。
まとめ
系外惑星「トラピスト-1」についてまとめました。
小さな星系で、生命の可能性があるのはとてもファンタジーな感じで、リアルに
生命体がいてほしいな、と思っています。
ただ、謎の解明にはまだ少し時間がかかることでしょう。
気長に宇宙時間を待ってみましょう。
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